「総合診療医と助産師によるお産、
それを支える産婦人科医」の
実現に向けて
総合診療産婦人科養成センターの設立は、私にとって10年越しの夢でした。
「総合診療医と助産師によるお産」という発想は、日本ではまったく馴染みがないため、周囲の理解が得にくい状況が続いていたのです。今これを読んでいる方の中にも、「そんなことをして大丈夫?」と、不安に感じる方がいるかもしれません。
しかし、総合診療医が担当するのは、助産師だけでも管理できるリスクの低い妊婦です。妊婦のリスク評価は、約75%がローリスク、約22%がミドルリスク、約3%がハイリスクという割合であり、ローリスクな妊婦の健診や分娩介助を総合診療医が担えば、産婦人科医はそのバックアップや手術、比較的リスクの高い分娩等に専念することができます。一方で正常、ローリスクと思われた妊娠・分娩がリスクの高い分娩になってしまうこともあります。したがってそのためにチームでシミュレーションを繰り返し、周産期チームが機能するように備えておくことも必要です。